前回の記事で「英語を話すまでには3つの壁がある」というお話をしましたが、今回はこの一番上についての内容になります。
英語が話せるようになるには単語や文法の理解だけでなく、「語る内容」が必要です。
を鍛えることで語る内容が充実し、英語力をさらに実践的に活用できるようになります。本記事では、この3つの重要なスキルについて具体的に解説します。
英語を話す際、伝えるべき「内容」が必要です。ただし、内容が頭の中にあるだけでは不十分で、それを適切に相手に伝える力が求められます。この力を育むのが、「抽象化思考」「ロジック思考」「背景知識」です。
日本語を話す際でも、口下手で説明がかなり長い人がいると思うのですが、このように「日本語で口下手な人」は英語でも口下手になりやすい傾向があり、その場合は英語が伝わらないことが結構多いです、、、。英語が伝わらない1番の要因は、「相手に何をどう伝えれば適切にわかってもらえるのか」という 「話す内容」そのものを深く考えられていない事にあります。これを解決するために必要なのが、「抽象化思考・ロジック思考・背景知識を鍛えること」になるのです。
英単語を覚えたり、英文法を使えるようにするための教科書やコンテンツは世の中に沢山あると思いますが、「話す内容」について十分に解説しているものはほぼ存在していないんじゃないかと思います。僕の経験上、この「話す内容の整理」がしっかりと出来るようになれば、それだけで英語がスラスラと出てくるようになる人が結構いて、英語が話せなかったのは実は英語力の問題ではなかった、、、というような事も往々にしてあります。
「中学レベルの英語ができるようになると大半の英語は話せるようになる」と言われている一方、「中学レベルの英語は身につけているけど、うまく話せない、、、」という人はすごく多いと思います。「基礎英語は身についているはずなのに、中々話せるようにならない。」という人は、ぜひ今回紹介する方法を参考にしてみてください!
「抽象化」とは、物事や概念をよりシンプルで一般的な形にまとめるプロセスです。簡単に言うと、複雑なアイデアや物事を、それらの共通点に焦点を当て、理解しやすくシンプルにするイメージです。例えば、「りんご・バナナ・みかん」といった果物を「果物」とまとめると、複雑な情報が理解しやすくなります。
抽象化することで異なる物事や概念を「共通の特徴」に基づいて分類すると、複雑な文章も簡単に理解できるようになります。「要約」もやっていることは同じで、「長い文章や複雑なアイデアを短く簡潔にまとめること」ですよね。どちらも細かな詳細を省いてシンプルな形にまとめるので、理解しやすくなります。「抽象化する力」や「要約能力」が高くなると、話が無駄に長々とならないので、相手に伝わりやすくなります。
まず1つ目は「抽象化思考」についてです。
「抽象化」とは何かと言うと、「物事」や「概念」をより単純で、一般的な形にまとめるプロセスのことです。簡単に言うと、複雑なアイデアや物事を、その共通点に焦点を当てて理解しやすくシンプルにするイメージです。
例えば、りんごやバナナ、みかんといった果物があるとします。果物にはそれぞれ違った特徴がありますが、「抽象化」すると「果物」という言葉でまとめることができます。いろんな果物の種類を言われるよりも「果物」という形でまとまっている方がパッと理解しやすい、というメリットがあります。
「抽象化」を行うことで、異なる物事や概念を共通の特徴に基づいて分類することができ、簡単に理解できるようになります。「要約」もやっていることは同じで、「長い文章や複雑なアイデアを短く、簡潔にまとめること」ですよね。どちらも細かな詳細を省き、シンプルな形にまとめてあるので理解しやすくなります。
「抽象化」や「要約」の能力が高くなると、無駄話が少なくなったり話が長々となりにくくなるので、より相手に伝わりやすくなります。
こちらは先ほどの果物の例と同じです。物事や概念の共通点を探し、それに基づいてまとめましょう。共通点を見つけることで、抽象化のレベルが高まります。例えば、「自分」を抽象化すると「日本人」「哺乳類」といった分類が考えられます。
実際にやってみた方が分かりやすい分かりやすいと思うので、一緒に抽象化の練習をしてみましょう。10秒ほど時間をとり、自分自身を抽象化してみてください。それでは、よーい、スタート。
どうでしょうか?答えは色々あると思うのですが、もし、僕「ちーや」を抽象化すると以下のような感じになります。
こんな感じで抽象化する事ができます。あなたならどんな抽象化をしたでしょうか?この講座を読み終わったら、アウトプットの一環としてぜひ僕の方に送ってみてください!
「抽象化」は「複雑さを減らすこと」が目的なので、物事や概念を可能な限りシンプルにして不要な情報を省略することが重要です。
僕の周りの友人に、自分のプライベートの時間をほぼアイドルに使う結構ガチのアイドルオタクがいるのですが、その友人曰く「ガチのアイドルファンは推しの子のことを事細かく語らない」という事らしいんですね。
オタクA「〇〇、良いよね」
オタクB「うん、素晴らしい」
これだけらしいです。にわかファンだと「〇〇の横顔とか笑った顔」とか、「ちょっとした仕草が好き」みたいに語るらしいのですが、ガチファンはもう全てを知っていて理解しているので、「良いね」と “究極的に抽象化した言葉” の中だけで込められた意味を理解できるらしいです。
ただし、知識レベルが同じ状態である必要があり、あまりにも情報量が少なすぎるとにわかの人には伝わらないので、相手の知識量だったりどんなバックグラウンドを持っているのかということは考慮する必要があります。
「抽象化」は特定の事例だけでなく一般的な概念や物事に焦点を当てることができるので、他のものに応用できるかどうかを確認するのも1つの手段です。例えば、上述した抽象化思考は「物事を分解して階層化すること」でもあるのですが、これは物事を整理する時や、タスク分解して優先順位を付けたい時、プレゼンの内容構成を考える時などでも使えるノウハウになります。このように、他のことにも転用することができれば抽象化できている証拠だと思って良いと思います。
ちなみに、これを提唱して大人気になったのが「メモの魔力」という本ですね。「事実から抽象化し、それを他の物事に転用する癖を付けることで思考の幅を広げるという考え方をメモを取りながらやってみよう!」という内容なので、やっていることは同じです。
抽象化思考が身に付くと話したいことが相手に伝わりやすくなるだけでなく、考え方が広がる等のメリットもあるのでぜひ身に付けてもらえたらなと思っています。
「ロジック思考」を簡単にまとめると、「話の内容が矛盾なく一貫しているか」ということです。ロジック思考が不足している場合、相手はこちらの意見や主張を正確に理解できなくなります。
英語の場合でも話が矛盾していたり、内容が支離滅裂すぎると理解されづらくなってしまいます。「じゃあどうすれば良いの?」という事なのですが、ロジック思考にも3つコツがあるので、それぞれ解説していきます。
これは「抽象化思考」と組み合わせて使うとより明確になるのですが、「何を言いたいのか」「要点は何なのか」を考えることで話が広がりすぎることを抑えることができます。「これだけを伝える!」というものが決まってると、そこに向けて話を組み立てていけるので話がそれ過ぎることを防ぐことができます。
「言いたい結論」が決まったら、次にどういう要素を伝えると相手に理解されるかを考えていきます。この時、ゴールから逆算的に考えていくのがコツになります。
ゴール(結論)を決めて、そこへ向けてキーとなる要素、要点部分を見つけていくイメージです。あくまで要点なので情報量は詰め込まず、できるだけシンプルな形にしておくのもポイントです。
最後に要点を結びつけていきます。情報量を減らしても話の流れが繋がっていれば、論理的には問題なく相手に伝わりやすくなります。
これができていると基本的にロジックが外れることはないので、論理的に繋がっているか話し始める前に確認する癖を付けてみてください。
3つ目は「背景知識」です。
結局のところ、これが英語を話せる範囲を決める部分になります。案外見落とされがちなのですが、知識や情報がないと人って話せないんですよね。例えば、僕は法律の話が苦手で、日本語で語れと言われても結構苦しいのですが、日本語に限らず英語でも知らないことは基本的に話せません。「知識」というような大袈裟な話でなくても、「好きなカフェの話」や「映画の話」など、日常的な話でも同じです。
僕自身、最終的にここですごく苦しみました。例えば大学の時に、友達と当時すごく流行っていた「ゲームオブスローンズ」というドラマの話していた時の話なのですが、僕、そのドラマ見てなかったんです。みんなが話してる意味も全然理解できなくて、全く会話に入れませんでした。「僕の英語力って、こんなに低いのか、、、」って、その時は割と凹んだんですけど、その後、「スパイダーマン」の話になった途端に話が理解できるようになったんですね。スパイダーマンは何回も映画見ていて、ストーリーも具体的なシーンも知ってたからです。
つまり、英単語や文法などの英語力以外の部分が「聞ける・聞けない・話せる・話せない」に影響してしまう、ということです。逆に言うと、この”知ってる範囲”が広いほど、聞ける・話せることも増える、という訳です。当然と言えば当然なのですが、「英語を話したい」という時は英単語や文法の勉強ばかりをしがちですよね。もちろんそれもすごく重要なのですが、英語を話すために「知識を増やさなやきゃ!」「本を読まなきゃ!」という風には思わないですよね。なので、「結構ここは盲点だよな、、、」と思うわけです。
僕はこれをメルボルン大学の時にものすごく痛感しました。僕は「開発学」という学問を勉強してたのですが、開発学は経済学や国際関係論、教育論、ジェンダー論など、結構幅広い内容を扱う学問です。なので、毎回授業前に読む論文について知識ゼロのことが割と良くあり、あまりに知らないことばかりだったので、授業中の議論、ディスカッションの時間などに本当に話せず、終始笑うカカシでした、、、。つまり、英語力と知識は別物なのです。
ちなみに、これは「僕らがネイティヴになることが難しい理由」の1つとなっており、育ってきた環境によって理解できる文脈、というものがある訳です。例えば、僕は長崎出身なのですが、長崎にはお盆になるとお墓で花火をやる文化があります。先祖が年に一回帰ってくるので盛大に盛り上げよう、という習わしなのですが、これって他県の人は知らないことが多いですし、お盆に花火をすることを知らなければ「あ、夕方には玄関に灯籠つけなきゃね、、、」といった話にはついて来られない訳です。
オーストラリアのメルボルンでもこういう話はたくさんあります。例えば、「フッティ」という、ラグビーとサッカーを混ぜたようなスポーツがオーストラリアにはあり、このフッティの決勝の日はお休みになるくらい、ものすごく盛んな国民的スポーツなのです。メルボルンには「Collingwood」という地元のチームがあります。これはあまり良い表現ではないのですが、Collingwoodのチームが連勝してると、他のチームのサポーターなんかが「何かドラッグでも打ってるんじゃない?」みたいな話を冗談でする訳ですよ。「Collingwood」という地域にドラッグなどの犯罪で捕まった元囚人の人たちが住む住居が以前あり、そういう歴史的背景からこのようなジョーク・冗談の話になる訳なのですが、この背景知識が無いと絶対に意味が分からないですよね。
英語でもその地域で育ってないと分からないことはたくさんあり、ネイティヴが20年なんかで培ってきたものを、僕らは大人になって知っていくので結構な時間がかかります。英語力が高くなればなるほど、知っている話題についてはネイティヴのように話したり聞いたりできると思いますが、背景知識の無い話題となると途端に英語力が落ちたように感じることも往々にしてあります。
僕は留学する前に日本について勉強しておくことをおすすめしてるのですが、その理由は、留学すると日本についてものすごくいろんな人から聞かれるので、知識を持っていると話せる可能性がすごく高くなるからです。
などは留学先で頻繁に聞かれるので、予め準備しておくことをおすすめします。
英語力は、英語力以外の知識や情報、文化や文脈が影響すること。知っている範囲が広ければ広いほど話せることも増えていくので、英語力の底上げはもちろん大事ですが、話す内容の部分も忘れずにしっかり補強してもらえたらと思います。
それでは、今回の内容は以上となります。
英語を話す前に「話す内容」がすごく重要であること、そしてそれは「抽象化思考・ロジック思考・背景知識」を鍛えることでより伝わりやすい英語になる、ということを意識していけば、話せる英語の範囲も広がることにも繋がっていきます。
英語をスムーズに話したいと考えている方は、ぜひ今回の記事を参考に、実践してみてください!お疲れ様でした。